UTAUとは何か
UTAUは、自分の声を録音して「音源」を作り、それを組み合わせて歌のメロディーに歌詞を乗せることができる歌声合成ソフトです。VOCALOIDと同じく「歌声合成ソフト」というジャンルに入りますが、成り立ちも入手方法もかなり異なります。
ボカロPという言葉があるように、VOCALOIDは音楽制作の世界で広く知られていますが、UTAUはそれよりもさらに間口が広いソフトとして長く親しまれてきました。名目上はシェアウェアで、作者への登録は任意とされていますが、登録しなくても使い続けられる形になっており、金銭的な負担を抑えて歌声合成を始められる点が、多くの制作者に選ばれてきた理由のひとつです。
対応OSは基本的にWindowsですが、Mac環境でも動かす方法を紹介しているサイトや解説記事が存在します。使用するパソコンの環境によって手順が変わるため、導入前に自分の環境で動くかどうかを配布元や解説記事で確認してから進めることをおすすめします。
VOCALOIDとの違い
VOCALOIDは、メーカーが音源を有償で開発・販売する仕組みが基本になっています。新しい声を使いたい場合は、音源パッケージを購入する必要がある点が前提としてあります。
これに対してUTAUの大きな特徴は、自分の声から音源(原音)を作成し、配布できる仕組みが古くから根付いている点です。プロの声優やメーカーが関与しなくても、個人が録音した音声を音源化し、それを他の人が使うという流れが成立してきました。これにより、商業的な音源開発を待たずに、多種多様な声・キャラクターが生まれてきた経緯があります。同人文化やインターネット上の創作コミュニティと相性がよく、UTAU音源には既存の商業キャラクターとは異なる自由な設定やビジュアルを持つものが数多く見られます。
音質や表現力の面では、近年の商業音源や新しい合成技術を使ったソフトに分がある場面も増えていますが、「自分の声を音源化できる」「無料で配布されている音源を探して使える」という点は、UTAUらしさとして今も残っています。
音源(ボイスバンク)の入手方法
UTAUで歌わせるには、まず音源(ボイスバンクと呼ばれます)が必要です。入手方法は大きく分けて2つあります。
有志が配布している音源を使う
インターネット上には、個人が制作し無料で配布している音源が数多く存在します。代表的な探し方は次の通りです。
- 歌声合成ソフトに関するまとめサイトやWikiで音源一覧を確認する
- 音源配布者の個人サイトやSNSを直接訪ねる
- 既に活動している制作者の動画・投稿で使用音源のクレジット表記を確認する
ここで必ず押さえておきたいのが、利用規約は音源ごとにまったく異なるという点です。「UTAU音源は自由に何でも使える」という理解は誤りで、次のような項目は配布元によって条件が変わります。
- 商用利用の可否:完全禁止/要申請/自由 など配布元次第
- 二次創作の可否:イラストや動画への使用可否、改変の可否
- クレジット表記:必須/任意/不要
- 使用禁止用途:政治的・宗教的発言、特定ジャンルでの使用禁止など
なかには、営利・非営利を問わず幅広い用途での利用を認めている音源も存在しますが、これはあくまで配布元ごとの方針次第です。同じ配布元の音源でも、用途によってクレジット表記の要否が変わるケースもあります。使う音源ごとに配布元の規約ページを必ず読んでから制作に入ることを強くおすすめします。動画投稿や楽曲配信の直前に規約違反が発覚すると、公開停止や音源配布元との関係悪化につながりかねません。
規約を読む際は、次のような視点でチェックすると見落としが減ります。
- 自分がやろうとしていること(配信、投稿、CD収録、イベント頒布など)が明記されているか
- 明記されていない用途はどう扱われるか(グレーゾーンの記載があるか、問い合わせ窓口があるか)
- クレジット表記の書式指定があるか(音源名の表記ゆれに注意)
- 規約が改定された場合の告知方法(SNS、配布元サイトのどちらを見ればよいか)
自分の声を録音して音源を作る
UTAUのもう一つの大きな特徴が、自分の声で音源を一から作れることです。決められた発声リスト(あいうえお、かきくけこ、といった音の組み合わせ)を一つずつ録音し、それを専用のツールで整えることで、自分だけのオリジナル音源が完成します。
録音には相応の時間と根気が必要で、雑音の少ない環境やマイクの選定、収録時の声の張り方など、気を配るべき点も多くあります。それでも、既存の音源に頼らず「自分の声で歌わせる」という体験は、UTAUならではの面白さです。歌ってみた活動をしている人が、練習を兼ねて自分の声を音源化してみるケースも見られます。
後継ソフト・類似ソフトとの向き合い方
UTAUを取り巻く環境は年々変化しており、後継として開発が進むオープンソースソフトや、まったく異なる技術を使った合成ソフトも登場しています。始める前に、大まかな位置づけを把握しておくと選択がしやすくなります。
- UTAUの後継として開発が続けられているオープンソースソフトがあり、複数のOSに対応している点や、既存のUTAU用音源をそのまま読み込める点が特徴として語られています
- 近年の音声合成技術を使った有償・無償のソフトも登場しており、表現の滑らかさを重視する制作者から注目されています
それぞれのソフトのライセンス条件や対応環境、価格体系は変更されることがあるため、導入を検討する際は必ず配布元の公式サイトで最新の情報を確認してください。UTAU用に作った音源やノウハウをそのまま活かせるかどうかは、乗り換えを考えるうえで重要な判断材料になります。
実際に始めるときの流れ
初めてUTAUに触れる場合、以下のような順番で進めると迷いにくくなります。
- UTAU本体をダウンロードし、パソコンにインストールする
- 使いたい音源を探し、配布元の利用規約を必ず確認する
- 音源を導入し、簡単なフレーズで歌わせてみて動作を確認する
- 好きな楽曲のメロディーと歌詞を打ち込み、パラメーターを調整していく
- 書き出した音声をDAWに取り込み、伴奏と合わせてミックスする
最初から完璧な調声を目指す必要はありません。まずは短いワンフレーズをUTAUに歌わせてみて、音源特有のクセや得意な音域を把握するところから始めると、その後の調整がスムーズになります。母音の伸ばし方や息の量を示すパラメーターは音源ごとにクセがあるため、いくつかのフレーズで試しながら、その音源に合った打ち込み方を見つけていく作業が調声の中心になります。
一曲を仕上げたあとに
自分の声を音源化したり、有志の音源を借りて曲を作ったりする過程は、一人で黙々と進める作業になりがちです。録音、音源整備、打ち込み、調声、ミックスと工程が多い分、完成までにかかる時間も長くなりやすく、途中で手が止まってしまう人も少なくありません。
そうしたときに助けになるのは、同じように歌声合成やDTMに取り組んでいる人たちの存在です。他の制作者がどんな音源をどう使っているか、どんな工程でつまずいたかを知るだけでも、自分の制作を進めるヒントになります。マイグル2は、ボカロPやDTMer、歌い手など個人で音楽制作をする人たちが、作った楽曲を発表し、互いの活動を共有できる場所です。UTAUで作った一曲目を、まずは気軽に置いてみるところから始めてみてはいかがでしょうか。



